物件は我が子と一緒

春の繁忙期を振り返って、皆さんの物件は満室ですか? 今年はコロナもあったので、いつもとかなり状況が違うのではないでしょうか。
原因がコロナなのか、コロナがなければ満室なのか? 理由をコロナと断言できますか?
もしまだ空室が残っているという家主さんがいらっしゃったら、「なぜ空室なのか」ということをもう一度問いかけてみましょう。何が足りないのか分からない家主さんは、物件のことをしっかり観察されていますか? 物件は子どもと同じです。目を離すとグレてしまいます。何をどうしていいか、分からなくなります。まずはしっかり物件を、ご自身の目で確認していきましょう。

物件が遠方でない限り、必ず定期的に現地は確認してみましょう。もし遠方の物件なら、管理会社の方にお願いして、定期的に物件の写真とかを送ってもらうのもいいですね。

毎日ご自身の物件を、ぐるっと一周散歩コースとされていた家主さんがいらっしゃいました。あるときその家主さんから、電話がかかってきたのです。
「賃借人のところに、一緒に行ってもらえない?」
聞くと、非常に几帳面に洗濯物が干されていた共働きのご夫婦の部屋、あるときを境に洗濯物の干し方がずさんになったと言うのです。お仕事が忙しいってことじゃないですか?と思ったのですが、家主さんは「絶対に何かがおかしい」と言うのです。「長年見てきたけれど、こんなのは初めてだから」と。しかも家賃の支払いも、ちょっと遅れるようになってきたとか。私からすると些細な変化でしたが、毎日見ている家主さんからするとその変化の大きさが不安になったようです。
現地に一緒に行ってみると、賃借人のご主人と会えました。「何かありましたか?」そんな家主さんのストレートな質問に、「実は嫁が出て行ってしまいまして」という衝撃な告白。結局、賃借人だけでの収入ではこの先しんどくなるからということで、滞納になる前に任意に退去してもらうことができました。もしも家主さんがこの小さな変化に気がつかなければ、近い将来に滞納案件に発展していったはずです。こうしてこの家主さんは、毎日観察することでご自身の物件をトラブルから防ぐことができました。
なかなかここまでできる家主さんはいらっしゃらないと思いますが、「物件は我が子と同じ」という思いは常に持っていていただきたいと思います。
では遠方の物件とか頻繁に物件に行けない家主さんは、具体的にどうしたらいいのかと悩んでしまいますね。この場合には、管理会社の方にいつも同じ写真を撮りためていってもらうことをお願いしてみましょう。たとえば道路から見た物件やベランダ側。エントランス、集合ポスト、駐輪場にゴミステーション。あとは各階の廊下やそれぞれの物件に合わせて、撮ってみましょう。

ここでポイントは、いつも同じ角度から同じ写真を撮るということです。そうしていると「あ、〇〇号室の人が入居してから、ゴミステーションが荒れるようになった」とか「〇〇号室、集合ポストのチラシがたまってきたけど、夜逃げしたのかしら」とかが見えてきます。人の記憶はいい加減ですが、写真を撮りためて見比べていくと小さな変化に気がつきます。いまはスマートフォンのカメラ機能も優れているので、物件に行った折に撮ってもらえたらいいですね。
こうして物件に思いを馳せていると、何が足りないのか、どのような工夫をすればいいのかが分かってきます。そうして利に適った工夫をしていると、この時期の空室はなくなるはずですね。

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