契約書等に署名押印するということ

 家主さんは賃貸借契約書に署名押印する機会があります。このときの注意点ですが、全部管理会社さん、仲介会社さんに任せっきりになっていませんか?

家主さんは立派な事業者。信頼のおけるパートナーであっても、実際に署名押印する前には、しっかりご自身でも事業者として確認していきましょう。
 例えば賃貸借契約書に署名押印する前に、一通り中身を読んでらっしゃいますか? 何も読まずに、署名押印するほど怖いものはありません。賃貸物件は家主さんの大切な資産。これを相手方に貸し渡すわけなので、慎重になることも必要です。きちんと隅から隅、読んでいきましょう。そうすることで「あれ、これいつもの契約書とちょっとここが違う」とか「この記載はどうしてか」とか分かってきます。その都度、管理会社の担当者に確認して契約書に対する知識を入れていきましょう。

 特に貸すかどうか判断するときに即断できずに迷ったような場合には、なぜ躊躇ったのかをきちんと管理会社に伝え、場合によってはその不安を払しょくするために特約に明記するということもできます。ところがあまりに任せっきりになると、躊躇したけど承諾した→いつもの契約書に署名押印→不安が的中、こうなったときの対処が迅速にできないという結果を生じてしまうかもしれません。不安に感じたことはきちんと伝え、そこをカバーできる何かがあるのかどうなのか、カバーできるとしたらどうすれば盤石なのか、都度話し合ってみましょう。そうすることで管理会社側からも、家主さんの権利を守るような提案があるかもしれません。こと日本人は、思ったことを口にできない傾向があります。しかしながら事業者として押印する以上、きちんと言葉で伝えていくことが必要です。

 また同時に、賃借人側の署名押印欄も必ずご自身で確認しましょう。「字は体を表す」と言いますが、ひとつの参考資料にはなります。さらに入居者の住民票や連帯保証人の印鑑証明書等の添付書面も、必ず一通り確認するようにしましょう。入居者の家族構成や年齢等を、家主さんご自身も把握していると、何かあったときの判断が的確に下せます。逆に相手方のことをよく分からないと、判断を見誤ってしまうことにもなりかねません。たとえ管理を任せているとしても、「自分の財産は自分で守る」という意識は持つことは必要です。

 「家賃保証会社の審査が通ったから貸した」そうおっしゃる家主さんの非常に多いのが、現状だと思います。家賃保証会社は家賃を補てんしてくれますが、それ以外のことは当然ですが望めません。一般的に家賃を払わない人は、生活マナーも悪いです。「家賃が入ってくれれば」と思っていても、その入居者のマナーの悪さに他の良い入居者が退去してしまうことも実際にはたくさんあります。そうならないためにも、家主さん自身の判断をしていきましょう。物件の価値は、入居者含めての価値です。お金だけ入っても、物件が荒れてしまって価値が下がってしまうのは困ります。

 事業主として適切な判断をする、ご自身の財産はご自身で守る、この意識は重要です。そのためにも繰り返しにはなりますが、契約書はきちんと読んだ上で押印しましょう。そして入居者の情報を常に得ておくことは、トラブルが発生したときに早期解決できるポイントとなります。ぜひ更新ごとにも、入居者の情報は得ておきましょう。

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