ペット不可マンションなのに……

 ペット不可マンションなのに、ペットを飼われてしまったというご相談を多く受けます。こういったケースの場合、賃借人に退去してもらうことはできるのでしょうか?
 仮に裁判にした場合、家賃滞納には明け渡しの判決を言い渡してくれますが、それ以外の理由に関してはなかなか明け渡し判決はでません。やはり司法は賃借人保護に偏っており、さらに「改善されるでしょう?」と思われることが原因のようです。しかしながらペット不可マンションでペット飼われてしまった場合、注意したところで「はい、そうですか」と退去してもらうことは現実不可能でしょう。この場合の対処法をお伝えします。

 何度も言いますが賃貸トラブルで、家賃滞納以外は裁判でも負けてしまう可能性が大です。これになんとか勝つためには、家主側がこれだけ努力しました、それでもダメでした、だから明け渡しの判決をください、という流れにしなければなりません。そのために絶対に必要なことは、証拠を積み重ねていくということです。
 ペット不可マンションでペットを飼われていた場合、「飼っている」という証拠を残さなくてはなりません。まずは防犯カメラ等の映像から、入居者の方が犬の散歩に行っている等の証拠をつかみましょう。いちばん良いのはペットを飼っていることを裏付ける写真を、直接撮れたらいいですね。窓から猫が外を眺めているとか、犬が吠えているとか。そんな写真があれば、とても優位に立つことができます。ただ写真が得られたとしても、すぐに動いてはいけません。相手が「嘘をついた」という証拠もあった方がいいのです。

 建物の掲示板に「ペットに関する苦情が寄せられました。当マンションはペットを飼うことができません。ご注意ください」と張り紙をして、同時に該当する部屋だけだではなく、全戸にお伺いアンケートを出してみましょう。
1.ペットを飼っている、いない、2.預かったことがある、ない、3.預かったのはいつからいつまで、4.ペットの鳴き声等聞いたことがある、ない等々を項目に入れます。書いてくださいとなると、なかなか書いてもらえないので、選択してもらえるように複数の回答を作りましょう。そうして嘘をついた、ついていないの証拠ができますね。

 もし現在何らかの理由で預かっているという回答がきたら、理由の詳細と「いつになったらペットを返すのか」ということを明確に書面にしてもらいましょう。通常は親が入院したから預かっているとか旅行で預かっていると言います。その場合でも「当マンションはペット不可なので、退院されるまでご実家に移り住んでお世話しては」と切り返してみましょう。

 あくまでもこの建物ではペットを一時的であっても飼うことはできないのですよ、と態度を揺るがしてはいけません。また「飼っていない」という嘘の回答が来た場合には、写真をそこで初めて見せて、言っていることとの整合性が取れていないことの指摘をしましょう。「嘘までつかれると、賃貸借契約の基礎となる信頼関係が破たんしますよ」そう伝え、任意に退去してもらうことを促しましょう。写真と嘘の証言、これらのやりとりがあって初めて、訴訟にしても勝つことができます。逆を言えば、そこまでの証拠がなければ、単なる用法違反で入居者を退去させることは難しいのです。

コメントを残す

*