ゴミ屋敷にご用心!

 ここ数年、確実にゴミ屋敷は増えてきたと思います。この衛生的な日本で、なぜこんな汚い部屋で住めるのかなと不思議に思うほどです。たとえばRCの建物で階下の方から「天井から水が落ちてくる」という苦情に対応していると、実はその水は上の階のゴミから出た水分だったということがありました。また木造アパートの1階でのゴミ屋敷は、ゴミの水分でフローリングだけでなく建物の基礎の部分まで腐ってしまい、建替えを余儀なくされた家主さんもいらっしゃいます。ゴミが腰高くらいまで積まれ、そのゴミの上で生活している人もいました。2DKのお部屋で、2部屋とも天井までゴミが積まれていたこともあります。ゴミ屋敷は匂いの苦情等もあるかもしれませんが、それ以上に建物に大きなダメージを与えてしまうので家主さんは慎重な対応が必要です。

 まずゴミ屋敷を、早い段階で見つけるコツをお伝えしましょう。ゴミ屋敷の場合、ドアの外やベランダ等、部屋だけではなく外にゴミが出るケースがよくあります。そのため廊下部分にゴミが置かれたままになっていたり、ベランダ側にゴミが見えた場合には、ゴミ屋敷を疑っていきましょう。そしてゴミ屋敷かどうか、早い段階で確認することが必要です。なんとか理由をつけて、部屋の中を見るチャンスを作りましょう。
 しっかりとコミュニケーションが取れている賃借人なら、「廊下にゴミが出ているけど、部屋はどうなってるの? ちょっと確認させてよ」とストレートに言ってもいいかもしれません。あるいは消防器具の点検で……という理由で中に立ち入るとか、とりあえず早期に確認できる方法を考えましょう。

 先日2階の賃借人が水漏れをおこし、階下の賃借人から「天井からぼたぼた水が落ちてきた」とクレームがありました。家主さんは慌てて2階の賃借人に連絡をとりましたが、電話をとりません。何とか中に立ち入らせてもらおうとメールを送っても、反応もありません。自主管理だったので、仲介のときの不動産会社から連絡をとってもらっても、2階の賃借人とは連絡がつきませんでした。そうこうしているうちに、家主さんに損害賠償請求の書面が、1階の賃借人の代理人(弁護士)から送られてきました。家主さんは賃借人が安心・安全で住めるお部屋を提供する義務があるのに、それを果たしていないという理由でです。自主管理だったので、対応が遅く2階の元凶の部屋に未だ立ち入れていないことが原因だったのでしょう。家主さんも被害者ですが、何かあったときの対応が遅いとこういうことにまで発展してしまうので、トラブルの対応はスピードが必要です。

 困った家主さんからご相談を受け、すぐに2階の賃借人に書面を出し、翌日に部屋に立ち入りました。部屋はゴミ屋敷。どうやらこれを見られたくなかったようです。原因は壊れた洗濯機を使用していたから。洗濯をするたびに水が漏れ、これ以上建物が吸収できなくなった水が階下に溢れて落ちたようでした。洗濯機が置かれた前の部分は、なんども水を吸っていたのかぶよぶよになっていました。
 これから訴訟手続きに入りますが、水漏れやゴミ屋敷を確認した場合には、速やかに対応しないと家主さんの負担はとても重くなってしまうということを覚えておきましょう。

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