トラブル物件の特徴

 トラブルある事件を受託すると、必ずその物件に行ってみます。資料だけでは、細かい部分が分からないからです。トラブルというのは、家賃滞納だったり賃借人からのクレームを多く受けるようなケースです。年間200件くらいでしょうか。受託する事件数だけ、トラブルになった物件を見ていることになります。驚くことに、トラブルになる物件には特徴があります。さらには、トラブルある物件イコール空室の多い物件なのです。

 まず絶対的に言えることは、物件の管理状態が悪いということです。具体的には、共用部分が汚いとか駐輪場の自転車が整列されてないとか、ゴミステーションが荒れているとか、そういうことを含めて汚いのです。
特にエントランスが分かりやすいでしょう。目立つのは集合ポストです。今の時代、DM等のチラシが投函されてしまうので、1週間も放置しているとポストはパンパンになってしまいます。定期的に取り除かないルーズな性格の賃借人、もしくは見たくない都合の悪い郵便物が送られてくるような賃借人のポストは、必然的に汚いのです。

空室がある場合には、定期的に物件に出向いてポストのチラシを撤去するようにしましょう。たまに空室のポストに、チラシが入れられないようガムテープが貼ってあることがあります。これは最悪です。この物件には、空室が何部屋ある、と告知しているようなものです。空室が多く管理もされていないような物件は、犯罪のために部屋を借りようとする人たちにとっては好都合です。彼らは、自分の顔を見られたくありません。そのために、わざわざ管理されていない放置物件を選びます。物件の管理を行き届かせるということは、それだけで物件から犯罪者を遠ざけることにもつながります。

 同様に滞納するような人も一緒です。家賃滞納できるような人は、ルーズな性格なのです。そのようなタイプの人は、こまめに督促されるのが、鬱陶しいと感じます。そのため管理の行き届いているような物件は、彼らは積極的に借りようとしません。
 また家賃滞納している人の大半は、他に借金のある人です。そのため督促状が、よく届きます。そのような物を見たくないので、ポストを放置するのでしょう。
 今の時代、必要なことはメールやチャット等で事足ります。恋文が届く時代でもありません。彼らにとってポストは、不要なものという認識かもしれません。
 そう考えていくと、各戸のリフォームに費用をかけるより、集合ポストを最新の物にする方が、いい入居者を確保できるかもしれませんね。

 家賃滞納も含め、賃貸トラブルを避けるためには、まずは掃除。徹底的に管理を行き届かせることです。そうすることで良い入居者を確保することができます。その上で、ほんの僅かな変化にも、家主側が気がつくことです。気が付いたら、すぐに対処する。これで賃貸経営におけるトラブルの大半は、解決します。
僅かな変化に気がつくこと。そのためには物件の状況を、常に把握しておく必要があります。人間の記憶は、曖昧なものです。物件に行くたびに同じアングルから写真を撮りためておくと、僅かな変化に気がつきやすくなります。管理会社や清掃をお願いしている会社の方にも撮ってもらうと、月に数枚になります。それを見比べるだけで、トラブルの芽を見つけることができます。試しに、ぜひやってみてください。