家賃滞納督促 Part2

家賃滞納督促Part1では、滞納督促の大まかなやり方をお伝えしました。今回はもう少し掘り下げていきましょう。

まず家賃滞納の督促は、タイミングが重要です。毎月きちんと入金を確認されていますか?
たとえば家賃の支払いが、月末までに翌月分の約定としましょう。必ず月末に確認します。15時まで、そして夕方。入金ない人はそこでチェックします。翌朝いちばんに、もういちど確認します。そこで入っていなければ、すぐに督促作業をします。これがポイントなのです。

督促が一日でも遅れれば、その分回収率は下がります。どうしてでしょう。
前回もお伝えした通り、滞納する人はほぼ他に借金があります。優先順位の高い方から払います。家賃を払わない一方で、やはりビクビクしているのです。そこで督促がなければ、
「あっ、意外と大丈夫なんだ」と思って、手元にあるお金は別の借金の支払いに消えていきます。 「払わないと大変なことになるんだ」そんな意識を持ってもらうためにも、ちゃんと督促をすべきなのです。

もし賃借人とコンタクトが取れたとしましょう。相手方は「払えません」とは言いません。
「払います」と言われても、それを鵜呑みにしてはいけませんね。まずどうして今回、支払いが遅れたのかと聞いてみましょう。頭ごなしに滞納していることを責めたら、せっかくの情報が得られません。「どうされたのか心配で」と、相手の事情を聞きだしましょう。

ここで理由が一過性のものであれば、滞納状況は続きません。不幸にしてそうでなければ、ここから滞納額が加算していくことになってしまいます。

Part1でお伝えしたように、滞納の問題は退去させることができても、滞納分の回収は非常に難しいのが一般的です。本人が頑張っていたとしても、勤務先の会社の経営不振で給与未払い等の事情もあるかもしれません。
もし本人の力だけで滞納状況を改善できそうになければ、まだ体力があるうちにもっと家賃負担の低い部屋に移ることもいいかもしれません。
滞納している人は、よほどの悪い人でない限り、滞納したまま引っ越すという選択肢はありません。何とかして払わなければ……そう思っているけど払えず、気がついたら何十万と滞納になっていた、というのが一般的です。こうなると転居したくてもできない状態になっています。

そうではなくて、まず今より安い部屋に転居してもらう。今の部屋の滞納額が確定する。その金額を分割で支払ってもらう、これがいちばん傷の浅い方法です。まだ体力があるうちに、引越しを検討してもらうのです。そのため力で押しても、反発されるだけです。じっくり賃借人の内情を聞きだし、どうするのがいちばん良いのか、一緒に考えていきましょうというスタンスをとりましょう。
こういうことを自分で考えられる人は、滞納はしません。逆算して組み立てて物事を考えられないので、滞納状態を生み出してしまいます。自分と同じ感覚で考えてしまうと、滞納状態はどんどん悪化します。
中には「事情を聞いたら可哀そうだから」という方もいらっしゃいます。確かにそういうこともあるでしょう。しかし不測の事態は誰にもあります。だからそのために貯金等をするのです。そこがないから滞納となります。「可哀そうだから」は、賃借人に借金を積み重ねさせることにもなりかねません。賃貸経営はビジネスです。何が本当の優しさで、何が問題の本質なのか、見極めることが必要です。