空室対策で必要なこと

ひと昔前は、入居者負担で原状回復をしてもらえたので良かったのですが、今や退去がでてしまうと家主さんは大変です。

すぐに空室が埋まればいいですが、空室期間が長引いてしまうと死活問題にも発展しかねません。
ここで大きなポイントがあります。賃貸経営を考えるとき、一日でも長くクレームもなく住み続けていただくことが、いちばんの安定経営となります。退去に慌てるより、いまお住まいの入居者の方々に、どれだけ喜んでいただいているかということを考えられたことがあるでしょうか。

ある家主さんは、こんな工夫をしていました。その方は、毎月家賃のお支払が確認できたら「今月もお家賃ありがとうございました。よろしければお使いください」というメッセージと、その地域で販売しているゴミ袋を各戸にポスティングします。そうすることで滞納もなくなり、ゴミ袋を利用してゴミ捨てしてくれるので、ゴミステーションもきれいになって長期入居者が増えたということでした。

この発想は、100 円の物をお店で買っても「ありがとうございます」と言ってもらえるのに、何万円も家賃を払ってもらって家主がお礼を言わないのはおかしいのではないか、という疑問から生まれたそうです。

普段「当たり前」と思っていたことも、入居者の立場で考えてみると違うことも多々あります。視点を入居者に向けてみることで、新たな発見がまだま
だあるかもしれませんね。

また更新ごとに、入居者にプレゼントをする家主さんもいらっしゃいます。更新の回数ごとに、プレゼントは豪華になっていきます。それでも退去されるより、ずっとお得だと家主さんは言います。

「空室対策」という言葉をよく使いますが、今の入居者の方々に喜んでいただくことを考えていけば、おのずと空室を埋めるヒントが浮かんでくるのではないでしょうか。

そう考えると、今の入居者の方々が何を不満に思っていて、どのようなことを望まれているかリサーチすることは重要なことかもしれません。定期的にアンケートをとることも良いでしょう。最低限、更新のときにはお伺いをしてみましょう。

またできるだけ顔を合わす機会を増やすことも、有益です。「どうですか、お困りごとないですか」そう気軽に声がかけられる関係からは、賃貸のトラブルは生まれてきません。

クレームも面倒だと嫌がる家主さんもいらっしゃいますが、逃げてはいけません。クレームではなく、入居者のリクエストだと受け止めましょう。クレーム対応ではなくリクエストに対するサービスだと思えば、気持ちも前向きになりますね。

人は後ろ向き作業からは、いいアイデアも生まれてきません。
そんな努力をし続けていても、退去の方が出るのは仕方がないことです。この場合には、なぜ転居されるのか、しっかり理由を聞きとりましょう。解約通知書に記載してください、というだけでは書いてもらえないかもしれません。直接意見を聞ける絶好のタイミングです。退去立ち会いの担当の方に、ここはしっかりヒアリングしてもらいましょう。「宅配ボックスがなかったから」そんな理由もあるかもしれません。他の入居者も、同じことを不満に抱いている可能性があります。少しでもアンテナを張り、次の転居者を出さない工夫に目を向けていきましょう。