少額訴訟を利用しよう

 賃貸経営をしていると、未払い賃料を残したまま、賃借人が出て行ったということもあると思います。夜逃げという最悪パターンでなくとも、「払いますから」という言葉を残し、いなくなっちゃったというケース。皆さんはどうされていますか?
 払わないままを許してしまうのは、絶対にいけません。【滞納して追い出される→また次の借家で滞納する】をくり返し、長いことまともに賃料を支払わない人もいます。一度味をしめてしまうと、元には戻せないものです。そうなると世の経済にも悪い(笑)。
 こんなときに気軽に利用できるのが、少額訴訟の手続きです。これは法律家の手を借りずに、一般の人が簡単に裁判の手続きを利用できるように作られたものです。ただし簡単な手続きなため、どんな種類の裁判でも利用できるわけではなく、制約はあります。具体的には
 1.請求額が60万円以内のもの
 2.金員の支払を求めるもの
 まだ細かくはありますが、大きくはこの2点です。金員の請求のみなので「明け渡せ」を求めるときには利用できません。
 裁判といえば、書面が複雑だったり、法廷が威圧的に感じたり、分からないことだらけで二の足を踏んでしまうものです。でもこの少額訴訟は違います。
裁判は法廷ではなく普通の部屋で、食卓のような大きなテーブルに関係者が一緒に座り、自分の言葉で思いを伝えることができます。裁判官も書記官も「何にも染まらない」黒の法衣を着るのではなく、普通の服装です。
 訴状も簡易裁判所に行けば、チェックシートの訴状サンプルが置いてあり、簡単に作成できるように準備されています。
 駐車場の未払使用料の請求など、弁護士の先生や司法書士に頼むほどの金額ではないけれど、このままじゃ払ってもらえないような場合や、払わずに退去してしまったケースには、ぜひチャレンジしてみましょう。いちど体験しておくと、便利さを実感してもらえるはずです。