「払います」と言われたら、それ以上の督促ができません。どうしたらいいですか?

 滞納賃料の督促は、とかくストレスが溜まるもの。きちんとさえ支払ってくれれば、こんな思いしなくてもいいのに……そう思われることもあるでしょう。
 でもここで負けてはいけません。相手は滞納の常習犯かもしれません。
 明渡の手続をしていると、滞納者が「慣れているな」とよく思います。担当執行官にも「前にもこの人執行したよ」と言われることすらあります。
 つまり家賃を滞納する人は、今までも繰り返している可能性が高いのです。明渡の強制執行までされるような悪質滞納者は、大半が常連組でしょう。
 そういう類の人たちは、手続や法的なことをちゃんと分かっていて滞納します。だからこちらもストレスを溜めずに、事務的に督促をするしかありません。
 「払います」と言われたら、すかさず「いつ、いくら払いますか?」と具体的に決めてください。そして決めたなら、メモ用紙でもいいから相手に一筆書いてもらいましょう。「約束が守れなかったら明け渡します」の一文も忘れないように注意します。このときに押印がなくても大丈夫。とにかく口約束だけは避けてください。
 賃借人が何を言っても、連帯保証人には早くから督促すべきです。溜まってからの督促は「なぜここまで溜めたのか」と逆ギレされてしまいます。
 最近の裁判でも「ここまで溜めたのは家主の怠慢で、その尻拭いを連帯保証人にさせるのは不当だ」と連帯保証人に抗弁され、家主が額を下げたケースもありました。
 私自身も裁判官に「ここまで家主は何をしてきたのですか」と冷たく言われ、悔しい思いもしました。
 もちろん払わない賃借人が悪いのです。「払います」と言われれば、信じてしまうし、それ以上なにも言えないのが当然です。
 でも悪質滞納者は、皆さんよりずっと上手です。気持ちを切り替えないと、あっと言う間に数カ月の滞納になってしまうでしょう。