自主管理する方は必見 滞納が起きたらコレをしろ!

賃貸業で家主を困らせるものと言えば、「賃料滞納」が筆頭であろう。何せ自身の大切な財産を相手側に渡しているものの、その対価を受け取ることができないのだから、受けるダメージは大きい。
ところが世の不景気なのか、モラルの低下なのか、昨年秋頃から滞納問題は急速に増加傾向にある。現場でとある執行官に話を投げかけると「最近の執行は明け渡しのオンパレードだ」と言う。事実わたしが手続する場合でも、執行による明渡しに至るケースが増えた。
以前は「追い出されるのも時間の問題だ」とばかりに、手続中に任意の退去で決着することが多かった。しかし最近では転居費用が捻出できないのか、事件が長引く傾向にある。さらに賃借人側が執行は初めてじゃないなと感じることも少なくない。つまり一般の人ならば裁判所による強制執行なぞ知識を持ち合わせることもなく、まして経験することなぞ皆無に等しいはずの中で、執行官との会話に現場で使う単語がなぜか飛び交う。滞納に味を占めたのか、常連組みすら出て来ているのが現状だ。
滞納問題の鉄則は「絶対に貯めないこと」。一日でも遅れたら督促するといった姿勢が重要で、これは絶対に崩してはいけない。「滞納に対してこの家主はうるさい」という印象を相手方にアピールすることは、自身の財産を守る重要な砦となる。
そして滞納者には、別の借金が存在する可能性が高いことも忘れてはいけない。要は支払いの優先順位の問題である。支払わないことで日常の生活を脅かされるところから、彼らは支払う。だからこそ家賃は一番後回しになってしまいがちだ。滞納者の大半は完璧に自転車操業に陥っている。
〔滞納=タダで住まわせてあげる+滞納分の回収は難しい〕という公式を覚えておこう。
 ではどうするのがいいのか?
 督促しても滞納状況が改善されなければ、一刻も早く法的な手続きに着手した方がいい。滞納額の回収ができなければ、早い段階で退去してもらい、新たな賃借人から収益を図った方が賢明だからだ。
法的措置にはお金がかかる……と考えているうちに、回収できない滞納額はどんどん増える。どっちが前向きなお金なのか、冷静になれば簡単なこと。
また賃借人の「支払います」の言葉も鵜呑みにしてはいけない。相手はなんとかその場限りの言葉で逃げようとする。そこは家主側がもう一歩踏み込んで、〔○○日までに金○○円支払います。支払わなければ、出て行きます〕といった一筆をとっておこう。先で重要な証拠となるかもしれないし、相手方が約束を守るかどうかを判断する材料にもなる。ここで約束を守られないなら、後々履行される可能性は極めて低いはずだ。
 連帯保証人もうまく味方にしよう。滞納を連帯保証人に支払ってもらうことも一つの手である。貯めすぎた段階で請求しても、逆に家主の任務懈怠責任を問われかねない。僅かな金額のうちに支払ってもらい、連帯保証人にも危機感を持ってもらう。次に滞納がまた発生したときは、連帯保証人が家主に代わって賃借人を追い出してくれるかもしれない。
 滞納額は貯めない、相手の言葉を信用せず、強い姿勢で立ち向かう、これが滞納者に立ち向かうポイントだ。