法人契約で部屋を貸しましたが、入居者が法人を退職するそうです。引き続き住み続けたいと言われ

 法人契約の入居者が、会社を辞めるけれど住み慣れた部屋を離れたくないと、個人契約の切り替えを望まれるケースは多いと思います。家主側としても、住んでいる人は変わらない訳なので、通常の賃貸借契約より軽く考えてしまいがちです。
 しかし、ここは要注意! 新規の契約より神経を使わねばなりません。
 それは何故でしょう?
 理由は何点かありますが、まずはポイントを。通常の契約なら、いったん退去して原状回復等を確認の上、敷金等も清算しますね。何かそこでトラブルがあっても、当事者同士で確認もできるし、話し合いもできます。登場人物は家主さんと賃借人だけです。
 しかしながら法人契約から個人への切り替えの場合、入居者は居住したままです。まず原状回復等を確認することはできません。荷物が入ったで、生活している状態ですから、まじまじと部屋の中を見られません。見る方も見られる方も、ばつが悪い訳です。
 そこでこのようなケースの場合、物件内の確認をしないまま契約書だけを書き換えがちです。敷金の清算も曖昧で、新たな敷金を確保することも難しいのが原状です。だからこそ、退去時にトラブルが発生します。
 「この損傷は、法人契約時代のもの」と言われたら、どうしますか? 今更、以前の法人に費用を負担してくれとも言えず、何よりも「いつの損傷」か、明確に誰もわかりません。誰が負担するのかが問題となったとき、登場人物は家主さんと賃借人、そして前の賃借人である法人となってしまいトラブルの種です。