内容証明郵便を上手に使おう

 「内容証明郵便」という言葉を聞いた方はいらっしゃるでしょう。これは郵便局が文書の内容を証明して、書留として送付するものです。基本的には「お手紙」ですから法的拘束力はありませんが、受け取った側にプレッシャーを与え、支払を促すことができます。一般的に訴訟の証拠書面として利用することが多いでしょう。
 ではなぜ訴訟の証拠書面になるかということですが、これは内容証明郵便が
 ①いつ ②誰が ③誰に ④何を ⑤どうした
 これらを証明してくれる文書だからです。
発送の際に「配達証明」付きにすれば、いつ届けてくれたかも証明してくれます。
争い事は、結局のところ言った言わないの水掛け論になってしまいます。普通郵便なら「受け取ってない」と言われれば、それを覆すことはできませんね。
 仮に書留で送ったとしても、文書を差し替えられてしまえば後の祭り。だからこそ文書の内容を証明してくれるこの郵便は、訴訟で証拠として使えるのです。
 そんな郵便ですから、滞納督促に使う家主さん、業者さんがいらっしゃいます。私も仕事柄よく拝見するのですが、内容でぎょっとするものがあります。
 訴訟の証拠になるということは、こちらにとっても不利な証拠になるということ。あまりに威圧的な言葉や、恨みつらみを書き綴ったものはタブーです。訴訟になったとき、裁判官は「どっちもどっちだな」と思うでしょう。
 そして一番いけないのが「払ってくれないなら解除する」の文言。解除されても相手は任意に明け渡してはくれません。賃貸借契約は解除されているのに、賃借人は住み続け、家主さんは賃料を受領し続けるという法的に錯綜した状況になってしまいます。
以前に何通も家主さんが内容証明で督促をしていたのですが、すべてに「解除」の文言が入っていたため訴訟に使えなかったケースがあります。
 次回は内容証明郵便の、具体的な利用の仕方をお話します。