入居者が高齢になってきました

 賃貸借契約は継続的な契約なので、10年、20年と続くこともあり得ます。時間の流れとともに、入居者も様変わりします。
 たとえば中高年の入居者だった方が、ご高齢者になる。単身者で入居されたのに、結婚してお子さんができた。ご夫婦で入居されていたのに、ご高齢で片方の方が亡くなられてしまった……等々。
 そして家族構成も変われば、それぞれの学校、就業、定年も含め、入居者を取り巻く環境は大きく変化していきます。
 その中で入居者の高齢化は、賃貸経営で避けて通れない問題になってきました。
一昔前、高齢者の一人住まいは少ない上、一人で住んでらしたとしても、近所に住む親族のサポートが多かったように思います。しかし昨今は、親族との繋がりも少ない入居者も多く、このような状態で滞納が始まったり、入退院を繰り返すようになってしまうと、家主側とすれば大変困ったことになってしまいます。
 早い目にご本人が専用施設に転居してくれれば問題ありませんが、高齢になってからの引越しは、よほど外部からの助けがない限り自発的には望めません。日々の生活で精一杯になり、それ以上のことは「分かっているけど、どうしようもない」状態になってしまうようです。
 入居者の家族構成を再確認し、高齢になりつつある賃借人には「緊急連絡先」等を聞いておきましょう。教えてもらえないようなら、万が一のために一筆をもらいましょう。内容は、入居者の荷物の処分を依頼するような簡易な「遺言書」的なものがいいと思います。
 入居者の方がお亡くなりになられたら、その部屋の荷物は勝手に処分できません。相続人を探して引き取ってもらうか、相続人が分からなければ「相続財産管理人」を選任して、財産の処分をしてもらうことになります。こうなると莫大な費用がかかってしまいます。予期せぬ費用の負担を避けるためにも、必要な手は打っておかねばなりません。