トラブルの種を取り除いて健全な賃貸経営を

 賃貸経営において最も重要なことは、良い入居者をいかに確保するかということと、さらに良い賃借人に、どれだけ長く住んでいただけるかということです。そのためにはトラブルの芽は早い目に摘むようにしましょう。今回は、賃貸経営におけるトラブル対処法についてお話したいと思います。
 
トラブルの源はすべて一つ
 借りたら返す、買ったら払う、家賃滞納者は、そんな当たり前のことができません。人間ですから何かのトラブルで、家賃の支払いが遅れることはあるでしょう。しかしながら払わずして住み続けるという日常を送れるのは、レストランで無銭飲食を続けることと同じです。通常であればストレスのある作業ですが、滞納者はそのような感覚を持ち合わせていないのかもしれません。
 人間の生きる基本的なルールを守られない彼らは、当然のことかもしれませんが、賃借人という立場の生活ルールも守ることができません。
 たとえばゴミの分別をきちんとする、時間と場所をわきまえて、生活音をコントロールする、廊下にゴミを落とさない、物件使用の約束を守る等々……。彼らの最も苦手とすることです。
 そう考えると、滞納者が一人いる物件は、質を大きく落としてしまうことになります。そのような建物に、マナーの良い賃借人が「入居したい」と思うでしょうか。滞納者のために自分の平穏な生活が乱されるなら、良い入居者は住み続けたいと思うでしょうか?
 つまり、賃貸トラブルの諸悪の根源は、ほとんど一つ。「滞納者を寄せつけず、排除する」この鉄則で、家主さんが受けるダメージは随分軽減されるはずです。
 ではどうすれば、滞納者を入居させず、現にいる家賃滞納者を退去させることができるのでしょうか。
 
滞納者を入居させない
 まずは掃除を徹底的にしましょう。特にエントランスは、物件の「顔」です。落ちて散らばったチラシを排除し、明るい照明に変えましょう。
 入居審査のチェックポイントを、再度見直してみます。申込書が丁寧に記載されているか、虚偽の記載がないか、インターネットを駆使して住所や勤務先も確認してみましょう。年収は当てにはなりません。それよりもむしろ今回の転居の理由が明確であるかどうか。そこを徹底的にチェックします。曖昧な引越し理由や急いでいる場合は、要注意です。
 入居者全員の写真を求めるのも、有効でしょう。昨今は家賃保証会社の審査が通らないため、最初から別人で契約してもらうケースもあります。
 審査を厳しくすると空室が増えるという家主さんがいらっしゃいますが、発想を転換して、入居したい物件に工夫すればいいことです。それよりもむしろ良い入居者は、審査が厳しいと隣近所も同等と考え安心するはずです。