嫌な人とは再契約しなければいいので、定期建物賃貸借契約にすれば悪い賃借人を追い出しやすくなりますか?

ここが問題なのです。普通賃貸借契約は、嫌な人であっても、「正当事由」がない限り、家主側から「更新しません」と言ってもなかなか認めてもらえません。この「正当事由」は、ほとんど認められないので、実質、家主さん側から「出て行って」ということは、かなり難しいです。「そうしたら、定期建物賃貸借契約なら再契約しなければいいだけのことだから、すぐに退去してもらえるじゃないか!」と思うのもごもっともです。しかしここに落とし穴があります。
そもそも素行が悪い人が、「再契約しないので出て行って」と言ったところで、「はい、ごめんなさい」と出て行ってくれるはずがないのです。ところが契約は終わっているので、占有している賃借人は、契約の終了と同時に賃借人ではなくなり、占有者となります。占有が入れ替わると、訴訟するときに権利関係が錯綜してかなり大変です。
また入居の際、鍵をもらうために住民票や連帯保証人の印鑑証明書などを提出してもらえますが、現在すでに占有している状態なら、再度の書類が出てくるかどうかも怪しいものです。
さらに連帯保証人に関しては、普通賃貸借契約なら更新あっても、基本、連帯保証契約はそのまま継続されますが、定期建物賃貸借契約の場合には、その期間だけの保証となるので、再契約の場合、イチから連帯保証人と契約のし直しをしなければなりません。なかなか再度の連帯保証契約の締結は難しいかもしれませんね。
個人的意見ですが、一般的な収益物件の場合、私はあまりおススメしていません。